インパクト・マネジメント運用原則
インパクト・マネジメント運用原則(以下、OPIM:Operating Principles for Impact ManagementまたはImpact Principles)は、インパクト投資の国際原則です。SIIFICはファンド設立と同時に署名し、この原則に基づいたファンド運用を行っています。本稿では、インパクト・マネジメント運用原則とその運用に関する項目を概説します。
英語の正式名称はOperating Principles for Impact Management(OPIM)。Impact Principlesとも呼ばれます。国際金融公社(IFC)が2019年に策定し、現在はGlobal Impact Investing Network(GIIN)が運営する国際的なインパクト投資の運用原則です。投資家が「インパクト・マネジメント・システム」を設計および実装するための枠組みであり、投資のライフサイクルを通じてインパクトの考慮を統合するためとして導入されます。投資戦略からエグジットまで、投資プロセス全体においてインパクトの意図と成果を統合する9原則で構成され、署名から1年以内に情報開示文書を提出することが義務づけられています。類似の国際原則はいくつかありますが、インパクト投資に絞ったものとしてはインパクト・マネジメント運用原則が唯一の原則であり、最も信頼され、世界的に認められています。2025年12月時点で世界では182機関(40カ国、総運用資産6,464億米ドル)が署名していて、日本からは8機関のみが署名。SIIFICは2023年6月7日のSIIFICウェルネスファンドの組成と同時に本原則に署名し、2024年には初回の情報開示文書を公表しました。
#情報開示文書(Disclosure statement)
インパクト・マネジメント運用原則に署名する機関は、年に一度「情報開示文書(Disclosure statement)」を公表する義務があります。これは、各機関がインパクト・マネジメント運用原則の9つの原則をどのように実践しているかを説明して、投資家・社会に対してインパクト・マネジメントの透明性を報告する文書です。SIIFICでは2024年には初回の情報開示文書を公表。実際の投資担当者とインパクトデューデリジェンスチームが異なるファンドもありますが、SIIFCウェルネスファンドではファンドマネージャーの梅田、三浦が自らインパクトデューデリジェンスをリードしているため、情報開示文書も自ら作成しています。
#独立検証(Independent Verification)
公表した情報開示文書に対して、文書の報告通りにインパクト投資を実践しているか、インパクト・マネジメント運用原則の9つの原則を遵守しているかを、独立した第三者機関が検証するプロセスです。これを行う第三者機関を独立検証機関と呼び、各署名先の状況に合わせて最適な第三者機関を選ぶことができます。各署名先が提示する資料だけではなく、実務で実際に使っているチェックリストなども確認して評価を行い、開示内容を客観的に審査し、さらに改善点をフィードバックします。