SIIFICウェルネスファンド
本稿では、「SIIFICウェルネスファンド」の理念や投資基準について概説します。
SIIFICウェルネスファンドは、2023年6⽉7⽇に組成されたベンチャーファンドです。豊富な投資実績を持つベンチャーキャピタリストと、⽇本のインパクト投資をけん引する財団が協力して立ち上げた、国内でも珍しい形のインパクトファンドです。
経済的リターン(利益)と社会的リターン(インパクト)の両立を目指し、機関投資家や事業会社、アカデミア、ファミリーオフィスなど、多様な投資家の期待に応えます。ファンド設立時には、インパクト投資の国際的なルールである「インパクト・マネジメント運用原則」に署名。世界基準のフレームワークを用いて投資活動を行っています。
#ウェルネス・エクイティーの実現
SIIFICウェルネスファンドでは、スーパーゴールに「ウェルネス・エクイティーの実現」-誰もがより良く生きられる社会- を掲げています。これはファンドのインパクト投資の根幹となる理念であり、すべての活動の基準となっています。
SIIFICはより良く生きようとする生活態度を「ウェルネス」と規定します。そして、「ウェルネス・エクイティー」は、誰もが平等に、自分らしい活動や選択、ライフスタイルに主体的に取り組みながら心身ともに健康でいられる社会状況のことを指します。この実現は、現在の長生きすることのみに特化した身体的健康を重視する社会からの変革を意味しています。そしてその変革対象は、医療や福祉にとどまらず、生活基盤、労働環境、地域コミュニティ、教育など、人々の暮らし全体に関わる仕組みにまで広がるのです。
このスーパーゴールをもとに、「インパクト・マネジメント・システム」の一貫性を保つため、投資先を選定する際の軸となる「レバレッジ・ポイント」や「4つの投資テーマ」を策定しています。
#ウェルネス・リテラシーの向上
「ウェルネス・リテラシーの向上」は、スーパーゴールである「ウェルネス・エクイティーの実現」を着実に達成するための2つの重要なポイント(レバレッジ・ポイント)のうちのひとつです。ウェルネス・リテラシーとは、身体や心の健康について、正しい情報の取得方法や判断力を身につけることを指します。このウェルネス・リテラシーが高まることで、人は自ら健康に関する情報を集め、内容を見極め、自分に合った判断や行動ができるようになります。その結果、よりよく生きるための主体的な選択や行動につながります。この考え方は、2023年に一般財団法人 社会変革推進財団(以下、SIIF)が発表した『ヘルスケアビジョンペーパー』に基づいています。
#ソーシャル・キャピタルの充実
「ソーシャル・キャピタルの充実」は、「ウェルネス・リテラシーの向上」と並ぶ、もうひとつのレバレッジポイントです。ソーシャル・キャピタルは「社会関係資本」とも呼ばれ、人々のつながりを可能にする信頼基盤、支え合いのネットワークを指します。 このソーシャル・キャピタルが充実した社会では、人々が助け合いながら暮らし、生きがいのある心豊かな人生を享受することができます。その結果、身体的健康だけではなく、よりよく生きるための主体性を育むことにも繋がります。この考え方も「ウェルネス・リテラシーの向上」と同じく、『ヘルスケア・ビジョンペーパー』に基づいています。
#ヘルスケア・ビジョンペーパー
『ヘルスケア・ビジョンペーパー』は、SIIFが2023年に発表した、超高齢化社会を迎える日本において「ウェルネスの実現」を目指すための提言書です。当時SIIFに在籍していたSIIFIC代表パートナーの三浦がその作成に携わりました。本書の中で示された「ゆるいつながり」や「ソーシャルキャピタル」といった概念は、現在のファンドにおける2つのレバレッジポイントや4つの投資テーマの設計にも反映されています。『ヘルスケア・ビジョンペーパー』は高齢者を中心としたアプローチを主眼に置いていますが、SIIFICウェルネスファンドではその視点をさらに拡張し、世代や属性を問わず人々のウェルネスを支える普遍的な仕組みを投資の軸としています。このように、『ヘルスケア・ビジョンペーパー』で得た知見を土台としながら、SIIFICはより包括的で持続可能なウェルネスの実現を目指してファンドを設計しています。