SIIFIC(SIIFインパクトキャピタル株式会社)

SIIFICインパクトキャピタル株式会社(以下、SIIFIC)は、2022年9月に創業されたインパクト投資専門のベンチャーキャピタルです。2007年、シリコンバレーでの駐在中に交流があった代表パートナーの梅田と三浦が、2022年1月に共通の知人の引き合わせでSIIFにて再会したことをきっかけに設立されました。

#はじまりの物語

2007年当時、三浦が米国三菱商事の駐在員としてサンフランシスコのヘルスケア系ファンドに出向していた頃、同じく梅田も日本アジア投資のシリコンバレー駐在員として赴任しており、出会いました。帰国後、梅田は自身が立ち上げた「シーズロケットファンド」にて、ヘルスケアスタートアップへの投資を多数手がけていきます。しかし2018年頃、自ら創業したベンチャー企業を経営する過程で、製品の開発に成功したとしても、初年度の売上は自社販売で数百万円。真の製品価値、企業価値を評価するには売上、利益以外の数字が必要であるという課題に直面しました。そこで、製品がもたらす社会的価値を定量的に捉えるインパクト評価こそが、そのギャップを埋める手段だと確信します。三浦と再会した2022年は、ちょうど次のファンドをインパクトファンドとして構想していた時期でもありました。

一方の三浦も、ヘルスケア企業の経営企画や事業開発に携わるなかで、早くからインパクトの領域に関心を寄せていました。ハーバード・ビジネス・スクールにてマイケル・ポーター教授らからCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)を学び、ファンドレイジングスクールにて非営利のファンドレイジングの基礎を学ぶなど、インパクト投資に通じる実践的な経験を積んでいきます。さらに2020年頃、PEファンド傘下の企業経営に関わり、IPOを迎える過程で、投資家の意向が経営に及ぼす影響の大きさを痛感。日本にも、経済的リターンに加えて社会的リターンも評価する新しい投資アプローチが必要だと強く感じ、インパクト投資で社会を変えたいという思いを一層強くします。

2007年の出会い以降も交流が続いていた両者は、2022年1月、共通の知人の引き合わせで再会します。互いの問題意識が重なっていることを確認し、「それなら一緒にファンドを立ち上げよう」と動き出したのが、SIIFICのはじまりです。当時三浦が参画していた、​インパクト投資の​プラットフォーマーである​⼀般財団法⼈ 社会変⾰推進財団(以下、SIIF)とともに、​SIIFICを​創業しました​。

#SIIFICのユニークネス

SIIFICのインパクト投資における特徴は、以下の3点です。

1. システム思考の導入
社会や事業の変化を、単なるKPIや数値評価に留まらず、因果関係の連鎖として構造的に捉えています。線型ロジックモデルだけではなく、システム思考を用いてフィードバックループを作成し、制度的制約、人と環境の相互作用まで踏み込んで分析します。

2. 「人を動かすToC」の設計
​議論を通じて、パートナー企業が​新たな​気づきを​得られ、​特に​創業者たちが​創業当初の​情熱を​取り戻すきっかけとなったり、その従業員が目指す姿・あるべき姿に大して腑に落ちることで、仕事への向き合い方が変化したり、ToCに触れる人々の心が動く状況が生まれます。このように、システム思考に基づいて“人を動かす”ToCを設計し、それをロジックモデルに変換する。つまり、SIIFICがシステム思考を用いて目指す先は、“人を動かす” ToC であり、これを投資判断や伴走支援の根幹に据えています。

3. レポートを“共創のツール”に変える姿勢
「Impact Performance Report」を成果報告にとどめず、投資家・投資先・関係者が一緒に学ぶ「共同学習のための青写真」にしています。これにより、ファンドと投資先の関係を“監視”ではなく“共創”へと転換させ、システムチェンジを実感できる関係性を生み出します。
こうした実践によって、私たちは「成果を測る」ファンドではなく、「システムに働きかけ、人と社会を動かす」ファンドとして、日本のインパクト投資をリードしていきます。

#SIIFICの基本スタンス

常に相手の立場で考える「圧倒的な当事者意識」
常に相手の立場になって、様々な発生課題に圧倒的な当事者意識をもって全力で取り組む姿勢を指します。ただ資金を提供するだけ、KPIを監視するだけではなく、自ら手足を動かし、インパクト実現に向けて投資先に伴走する、SIIFICの向き合い方・姿勢を表しています。投資契約に付随して締結される「IMM覚書」では、投資先だけでなくファンドマネージャー自身の貢献を明文化しており、覚書別紙の「ToC」では、投資先のアウトカムだけでなく、「投資家が何を持ち込むか」が記されます。SIIFICは、自ら投資先に対して育成責任をコミットし、それを果たしていきます。このように、ファンドが単なる資金提供者ではなく、インパクト実現の共創者であることを明確にしています。

「原理原則自律」
当たり前のことを当たり前にやる。インパクト投資に取り組む企業として、SIIFICはあらゆる関係者に対する誠実性の担保を何より重視しています。社会における基本的な姿勢ではありますが、それを徹底するためには、社内で互いに対等な関係性が築かれ、誤りを指摘し合える環境が不可欠です。梅田と三浦で対等な関係を築き、この「原理原則自律」をSIIFICで体現してきました。そして同じ姿勢を、投資先にも求めています。この原則が根づく環境を実現するため、ハンズオンとエンゲージメントを通じて投資先を伴走支援しています。

「つながり」
どんなつながりも大切に。私たちは、原理原則と自律を重んじ、常に「意味のある行動」のみを心がけています。ただし、人と人とのつながりは、いつか大きな意味を持つ可能性を秘めています。そのため、SIIFICは機関投資家や投資先企業の方々だけでなく、他分野で活動する方々や学生とのつながりも大切にしています。最近では、オフィスが所在する渋谷青山通り商店会にも加盟。インパクト投資にとどまらず、インターンシップや地域交流などを通じて幅広く関わりを持ち、その知見を社会に還元しています。

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